講師オーディション
今日、セミナー講師のオーディションがありました。
このオーディションの方式がちょっと特徴的で面白いのです。
------------------
いわゆるモデル、俳優、芸人のオーディションと一緒で、
審査員の前で20分間の講義(パフォーマンス)を行い、審査を受けて合否が通知されます。
合格すれば、その後に仕事の依頼があり、合格しなければ基本的に依頼はありません。
セミナー講師として壇上に立つには、主催者の前で模擬講義を行って、合格すれば仕事が依頼されるのが一般的です。
つまり、○○資格学校、○○大学、○○協会などといった主催者ごとに模擬講義を行わねばなりません。
いってみれば、ファッションショーごとにオーディションを受けるモデル、映画や演劇の作品ごとにオーディションを受ける俳優、お笑い番組ごとにオーディションを受ける芸人のようなものです。
しかし、私が今日受けたオーディションは、吉本の芸人養成学校であるNSCに近い方式といえます。
いわゆる講師の虎の穴的な講師派遣事務所があり、そこが定期的にオーディションを開催します。
オーディションに合格すると、その後数ヶ月の間、派遣事務所が複数の主催者からとってきた仕事が、講師それぞれに合った形で依頼されるという仕組みです。
---------------------
このオーディションでは、審査方式が独特です。オーディション参加者が同時に審査も行うのです。
毎回十数名の参加者があるのですが、それぞれが壇上で模擬講義を行うとともに、他の参加者の話も聞いて採点をするのです。
講師派遣事務所の審査担当者の方々の採点とともに、参加者同士の採点も合否判定に用いられます。
これが、世にある講師オーディションの中ではなかなかユニークなのです。
----------------------
と同時に審査対象者にとっては数々のハードルが課されることになります。
講師派遣事務所の性質上、参加者の多くはFPなのですが、そのバックグラウンドや興味は様々です。
オーディションでは、20分間という持ち時間の中で、自由にテーマを選んで話すことができます。
それを5点満点で、審査担当者と参加者が採点して、平均点が4点以上だと合格となります。
テーマは自由ですが、逆に言うと、特定の主催者だったり、特定のテーマで相手を満足させるような話し方というよりも、
様々な参加者、素人から玄人までの多くの人が満足してくれるようなテーマや話し方が求められることになります。
これがとっても大変かつやりがいがあるのです。
3ヶ月に1回くらい開催されるのですが、合格点を取り続けるのは並大抵ではありません。
私もここ数回は合格できていません。
-------------------------------
この講師オーディションのもう一つの利点は、他の人の話を十数本聴けることです。
みな、仕事をとるために、全力で模擬講義に臨みますから、その工夫には学ぶべき点が多くあります。
逆に、自分ならこうするのになといった反面教師としても参考になります。
自分自身の講義の評価・レビューと他の人の話を聴いてメモした評価コメントを読み返しながら、自分に足りない点を徹底的に考えます。
毎回、性懲りも無く繰り返す反省もあり、新たな発見もあります。
------------------------
今回、思ったのは、合格点をとるために、話し方のテクニックが占める割合は3割に過ぎないということです。
講師オーディションというと、どうしても、清潔な服装と落ち着いた立ち居振る舞いで、よく通るはっきりした声で、抑揚をつけながら話すのがよい。
単なる情報提供や意見の押し付けでなく、色々なネタを仕込みながら、発問したり、できれば笑いもとりながら、受講者の関心を誘う工夫をするべきである。
などといった話し方のテクニックに準備の焦点が当たりがちなのですが、実はそれらは3割に過ぎないのではないか。
---------------------------
もう4割は、結論でありメッセージではないかと思います。
どんなに話すテクニックが優れていても、結局受講者が聴いていて「なるほど」、あるいは「へえ」と思うような、自分にとって役に立った、知り合いにも話してあげたいと思うような内容を伝えなければ、セミナーになれた人たちには評価してもらえません。
つまり、話す内容ですね。内容というのは、情報もありますし、切り口・視点もありますし、メッセージもあります。そのどれかでも聴く人の心に響けば、高い評価をしていただけます。
内容は、セミナータイトルに端的に表されます。タイトルに反映されるのは、話す内容のカテゴリとも言えるテーマと、その中での視点ともいえるトピックです。講義をする前の集客まで考えると、このタイトル付けが鍵を握ることになります。
話す内容が聴き手の心に響くには、単に過激だとか、目新しいだけでなく、講師自体が心からその問題を真剣に考え、徹底的に考え抜いて自分の血とし肉としていなければなりません。その上で話す情熱が、情報やメッセージとともに聴き手の心に伝わるような気がします。
中には、表面上の面白さや笑いに引っ張られて評価をする人もいますが、講師としてはやはり、自分が本当に大事だと思う、人の役に立つ話をしたいところです。
--------------------------------
話し方と話す内容はまだ目に見えますし、工夫や改善の余地があります。
でも、スピーチの評価に見えない影響を及ぼしているのが、残り2割の人間性ではないかと、今日改めて思いました。
情熱や真剣さとも関わるのですが、普段から人を尊重していない人、人のためを思って行動していない人、文句ばかり言っている人、嫉妬ばかりする人、人の足を引っ張ろうと考える人、自己中心的な人、努力を怠っている人(講師の鍛錬に限らず)、修羅場をくぐった経験が少ない人などは、それが講義に出てしまうのではないでしょうか。
セミナー講義は、聴き手に役立つお話をさせていただく、完全に相手側にたったサービスです。
自分の話したいことではなく、受講者や世の中が聞きたいと強く思うことで、かつ自分が話せること・話すべきことを提供するのがセミナー講義です。
あるいは、普段からの生活態度も、話している数十分や数時間に顕われてしまいます。
普段から規則正しく、健康的な生活をしていないと、それが、声の出方、姿勢、体型、表情、目の輝き、肌、脳みその回転、滑舌などに顕われてしまいます。
この点でも猛省です。怖いのは、普段からの蓄積、これまでの人生が、パフォーマンスに反映・投射されてしまうことですね。
テクニックや情報が優れていれば、一定程度の聴衆相手には、ある程度の点数をつけさせられます。
でも実は、講師の普段からの人間性というのが、無意識に評価者の評価基準の根底になっているような気が、今日のオーディションに参加していて、あらためてしました。
これは一長一短に向上させられるものではありません。テクニックですら永遠の課題なのに、人間としての深さ・包容力・思いやりも備えなければならないとなると、並大抵の作業ではありません。
プロ講師業きつすぎ・深すぎ。。。
マネードクターでした。

最近のコメント